社会福祉士 過去問
第36回(令和5年度)
問41 (地域福祉の理論と方法 問10)

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問題

社会福祉士試験 第36回(令和5年度) 問41(地域福祉の理論と方法 問10) (訂正依頼・報告はこちら)

事例を読んで、A市社会福祉協議会のG生活支援コーディネーター(社会福祉士)が提案する支援策等として、適切なものを2つ選びなさい。

〔事例〕
A市のUボランティアグループのメンバーから地域の空き家を活用した活動をしたいという相談があった。そこでGが「協議体」の会議で地区の民生委員に相談すると、その地区では外出せずに閉じこもりがちな高齢者が多いということであった。Gはグループのメンバーと相談し、そのような高齢者が自由に話のできる場にすることを目標に、週2回、通いの場を開設した。1年後、メンバーからは「顔馴染みの参加者は多くなったが、地域で孤立した高齢者が来ていない」という声が上がった。

(注)ここでいう「協議体」とは、介護保険制度の生活支援・介護予防サービスの体制整備に向けて、市町村が資源開発を推進するために設置するものである。
  • 地域で孤立していると思われる高齢者が、通いの場になにを望んでいるかについて、地区の民生委員に聞き取り調査への協力を依頼する。
  • 通いの場に参加している高齢者に対して、活動の満足度を調査する。
  • 孤立した高齢者のための通いの場にするためにはなにが必要かについて「協議体」で議論する。
  • 孤立した高齢者が参加するという目標を、現在の活動に合ったものに見直す。
  • 孤立している高齢者向けに健康体操等の体を動かすプログラムを取り入れる。

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この過去問の解説 (3件)

01

生活支援コーディネーターである社会福祉士が担う役割について、具体例に沿って整理しておきましょう。

選択肢1. 地域で孤立していると思われる高齢者が、通いの場になにを望んでいるかについて、地区の民生委員に聞き取り調査への協力を依頼する。

地区の民生委員に通いの場について住民の要望をヒアリングする協力を依頼することは、民生委員の職務に合致しています。

選択肢2. 通いの場に参加している高齢者に対して、活動の満足度を調査する。

課題となっているのは、孤立した高齢者を支援することです。通いの場に参加している人々の満足度を調査することではありません。

選択肢3. 孤立した高齢者のための通いの場にするためにはなにが必要かについて「協議体」で議論する。

協議体で議論を行うことで、より専門的な視点から地域の課題を解決するための手がかりを見つけることが期待されます。

選択肢4. 孤立した高齢者が参加するという目標を、現在の活動に合ったものに見直す。

孤立している高齢者が通いの場に参加するという目標は変えるべきではありません。

選択肢5. 孤立している高齢者向けに健康体操等の体を動かすプログラムを取り入れる。

体を動かすプログラムが必要ならば、それを組み入れることは可能です。しかし、現時点では孤立した高齢者のニーズは、まだ把握されていません。

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02

本設問では、孤立した高齢者の閉じこもりを解消するための取組について問われています。当初の目的に沿った活動が出来ておらず、それを解決するための方法を考える必要があります。

選択肢1. 地域で孤立していると思われる高齢者が、通いの場になにを望んでいるかについて、地区の民生委員に聞き取り調査への協力を依頼する。

〇 外出せず閉じこもり傾向にある高齢者が、自由に話を出来る場を作るという目的で活動を始めましたが、対象としている方が参加していないという課題があります。対象としている方を参加に繋げるために、通いの場に望む事を聞く事は有効な手段と思われます。

ただし、運営メンバーと地域で孤立していると思われる高齢者の方との関係が築けていないため、メンバーが聞き取りに行ってもニーズキャッチが適切にできない可能性も考えられます。そのため、その方達と繋がりが出来ている地区の民生委員に聞き取り調査を依頼する事は、適切な手段と言えます。

選択肢2. 通いの場に参加している高齢者に対して、活動の満足度を調査する。

✕ 通いの場に参加している高齢者に対して満足度調査を行う事も重要ですが、現在課題に挙がっている事は、通いの場へ参加していない人を活動に参加してもらうようにする事です。既に参加している高齢者に対して満足度調査を行う事は、その課題解決の方法としては不適切です。

選択肢3. 孤立した高齢者のための通いの場にするためにはなにが必要かについて「協議体」で議論する。

〇 協議体は、定期的な情報の共有や連携の強化・課題解決のための取組の検討を目的としています。地域の活動である通いの場をより良いものにするために議論する事は、適切な取組と言えます。

選択肢4. 孤立した高齢者が参加するという目標を、現在の活動に合ったものに見直す。

✕ この地域で挙がっている課題は「外出せずに閉じこもりがちな高齢者が多い」という事であり、その解消を目的に活動を開始しました。孤立した高齢者が参加するという目標を変更する事は、課題解決に結びつかず、適切な手段ではありません。

孤立した高齢者をどうしたら参加に繋げられるかを考える事が大切です。

選択肢5. 孤立している高齢者向けに健康体操等の体を動かすプログラムを取り入れる。

✕ 現状では孤立している高齢者の参加が見られていません。健康体操等の体を動かすプログラムに興味を持っているかどうかも分からず、それらを取り入れる事は適切な手段とは言えません。

参考になった数7

03

生活支援コーディネーターは、地域の孤立高齢者を支援する際、当事者のニーズ把握と関係機関・協議体との連携を通じて、参加しやすい環境づくりや目標の見直しを行うことが重要です。

選択肢1. 地域で孤立していると思われる高齢者が、通いの場になにを望んでいるかについて、地区の民生委員に聞き取り調査への協力を依頼する。

民生委員は地域の高齢者の生活状況に詳しいため、孤立高齢者のニーズ把握に有効です。直接的な支援策立案の基礎となります。

選択肢2. 通いの場に参加している高齢者に対して、活動の満足度を調査する。

×

参加者の満足度把握は重要ですが、孤立して参加していない高齢者への支援策検討には直接つながらず、目標達成には不十分です。

選択肢3. 孤立した高齢者のための通いの場にするためにはなにが必要かについて「協議体」で議論する。

協議体を通じて関係機関やボランティアと情報共有・課題整理を行うことで、孤立高齢者が参加しやすい仕組みを検討できます。

選択肢4. 孤立した高齢者が参加するという目標を、現在の活動に合ったものに見直す。

×

目標の見直しは必要な場合もありますが、孤立高齢者の支援という本来の目的を安易に変えることは適切ではありません

選択肢5. 孤立している高齢者向けに健康体操等の体を動かすプログラムを取り入れる。

×

体操などの内容は一例にすぎず、参加しない高齢者に届く仕組みやニーズ把握を行わないまま実施しても、孤立解消にはつながりません。

参考になった数1